2011年12月18日日曜日

医療や介護をビジネスということの 愚

「これからの成長分野として、自然エネルギーや農業、医療・介護があげられ、それらをビジネスとして…云々」という報道(というより物言い)が聞かれます。

わたしは医療や介護をビジネスとしてとらえるのは反対ですね。

もちろん、人が動いている以上、その活動にお金が必要なのはわかります。
しかし、人の健康や生死をビジネスと考えることに、ものすごく違和感を感じます。倫理的にも道義的にも腑に落ちないです。
そして、なによりビジネスというのは、巧みな者が儲けている仕組みだと思うので反対するのです。


介護施設を例にとってみます。
介護施設においてお客さんはお年寄りです。(正確には顧客は、お年寄りの家族や国かもしれませんが)

まず、お年寄りを施設に収容できるだけ集めます。
施設において、経費として一番かかるのは、職員の人件費です。

そのため人件費のかからない仕組みを作ります。

どうするかといえば、入所したお年寄りをベッドに縛り付けておくのです。
食事の手間をかけないために、お年寄りには胃ろうの処置をとります。


こうして、お年寄りに手はかからず、死なないように最低限の世話をうまくできるシステムを作ります。
これで効率的な介護ビジネスの出来上がりです。
ビジネスとは効率よく利益をあげることです。


お年寄りに、そんなひどいことをする施設なんて、現実にはありえないだろ!?
と思われた方もいるかもしれません。


でも残念なことに、これは、実際にあった事例なのです。


医療にしても介護にしても、それをビジネスをとして明確に位置づけてしまえば、事業者が利用者に過剰なサービス(つまり必要のない医療や介護)や事業者にとって都合のよい(利益の生みやすい)サービスを提供するという懸念が生じます。


「医療や介護をビジネスとして考える」と簡単に言ってしまえるのは、ビジネスの本質に疎い人か、「人間はみな善なるものである」という考えの善人か、残るはそこに利権が生まれる関係者としか、わたしには思えません。
医療などはもはやビジネス化している面もあります。
ですから、それを加速させるような物言いには反対ですね。