2013年8月26日月曜日

『日本人の腰痛』 遠藤健司

【送料無料】日本人の腰痛 [ 遠藤健司 ]
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価格:2,100円(税込、送料込)

医師(整形外科医)の先生が書かれているので、 そこらへんの本(?) よりも信頼にたる内容だと思います(;^_^A
初版も2009年と比較的新しいので、腰痛系の本の購入を考えていらっしゃる人にはよいかもしれません。

抜き書きしながら、簡単にみていきたいと思います。


医師・柔道整復師・鍼灸師・マッサージ・整体・カイロプラクティックの簡単な要約(P6~9)

医師(整形外科医)
X線やMRIなどの検査を行ったり、医薬品を使用したりして医学的診断を行い、診断書を作成することができる

柔道整復師・鍼灸師
X線や医薬品の使用は行わず、体表からの診察と施術を行うことができる
針の保険治療は、医師以外では「鍼灸師のみが医師の同意書に基づいて最長で6ヶ月間治療できる」。保険の対象となる疾患は、腰痛・神経痛・五十肩・リウマチ・頸腕症候群・頸椎捻挫後遺症(むちうち)の6つ

マッサージ
クイックマッサージと呼ばれる手軽な治療を受ける患者層の発掘と増加がある
※(ブログ管理人注)マッサージのところは、テクニックとしての「マッサージ」にふれていて、上の国家資格(柔整師・鍼灸師)とは少し距離があるように見受けられます。
また、上の文言のように、マッサージとクイックマッサージをほぼ同列にとらえているようですね。

整体・カイロプラクティック
整体師による整体・カイロプラクティックの施術所は、国や県で認定された医療機関ではありません。そのため、スポーツ選手や健康な状態の人を対象とした、健康産業としての位置づけから逸脱してはいけないことになってます。
安易に頸椎や脊柱、あるいは骨盤のズレやヒズミが原因である、といって医業類似行為を行っていることがあります。
※むしろ、それが整体やカイロのマニュアルであり、命綱なんですけどねf^_^;
診断→施術という一連の行為は、まぎれもなく“医業類似行為”ということなんでしょうね。
整体師のみなさん、法律を守りますか?それとも整体をやめますか?


【いずれにしても急性発症した腰痛の約90%は自然に治り、痛みは消失します。】(P11)
~急性発症した腰痛=ぎっくり腰。ぎっくり腰の90%は自然に治るのは、業界の常識となっております。
そうでなければ、今頃、ぎっくり腰が治っていない人だらけで、大変なことになっています。

マインズ・ガイドラインセンター 急性腰痛


【85%の人が一生のうちに一度は腰痛を経験し、大多数の腰痛は2~3週間で軽快しますが、再発率は1年以内が30%、10年で80%です。そして、約5%が慢性化するといわれています。】(P15)


【代替医療(医師以外による治療)の診断では、背骨や骨盤のずれを触診のみで診断し、それが腰痛の原因と断定されることがあります。しかし、触診でふれることのできる背骨は棘突起のみで、骨盤は厚い脂肪に囲まれています。そのため、触診のみで判断するのは無理があると思います。】(P28)
~「不可能」ではなく、「無理がある」というご指摘は、とてもスマートですね。


椎間板内圧の変化 ナックムソン


【過去にまったく腰痛を経験したことのない人を対象にしたMRI調査においても、60歳以下の痛みのない人の5分の1にヘルニアが認められ、半数の人には椎間板の膨隆(ふくらみ)がみられました。
60歳以上では、実に3人に1人の割合で椎間板ヘルニアが存在し、80%近くの人に椎間板の膨隆がみられると報告されています。】(P53)
まさに 因果関係と相関関係 を取りちがえてはいけないということですね。


腰痛の感じやすい部分(P66)

椎間関節 > 後縦じん帯 ≧ 仙腸関節 > 椎間板




腰痛の種類や治療法など、全体的にわかりやすく、丁寧に書かれている1冊だと思います。
これで腰痛が治る!という内容を期待して買う分には期待外れになりますが、日本人の腰痛事情を知りたい人には、ちょうどよい本だと思います。