2013年8月23日金曜日

『鍼灸師・マッサージ師になるには』  小野寺素子


同じような本を読んだことがあるのですが、こちらの方がわかりやすい感じです。
また、初版も2009年ですから、最新情報とまではいかないまでも、比較的新しい情報が得られます。

具体的な目標として、マッサージ師になりたいという人だけでなく、マッサージ師に興味のある人にもおすすめできる内容です。



以下私的な抜き書き

【ただ単にマッサージのようなことをしたいのであれば、エステやクイックマッサージなど国家資格がなくても仕事をできるところはあります。】(P39)

まぁ、これが世間の認識であり、見識のある国家資格もちの人の総意と捉えていいでしょうね。
ただしそれは「マッサージ」ではなく、あくまでサル真似的な「マッサージのようなもの」ということになりますけど。


サトル治療院

ちょっと見づらいですけど、かわいいホームページです。
これからはこの業界も、このようなちょっとシャレたセンスが必要なんでしょうね。


【東洋医学ではすべてのものは、「陰」と「陽」の性質に分けられると考えます。ただし、完全に…】(P57)

陰陽五行とか、わたしも嫌いではありません。
ただ、それを医療・医学というならば、きちんと エビデンス を取るべきだと思うのです。東洋医学に基づく国家資格の学校もあるわけですから。
そういったところで、きちんと治験をするなりして、データとして「陰」や「陽」、「五行」などの正しさを表す方が、この時代においては、より親切だと思うんですけどね。


【ただしなかには国家資格ではなく、各団体や協会が独自に認定した民間資格者が行っている可能性があります。民間資格であっても当然法律にふれない範囲で営業しているわけです。…中略…ただやはり、国家資格の有資格者と比べれば民間資格者では無資格者と同じ扱いになります。】

いくら医療の知識を身につけても、国家資格がなければ「医療行為」をしてはいけないのです。
よく整体の学校で、「きちんとした医学・生理学の知識を身につけましょう!(そのためには、わたしどもの学校へどうぞ!!)」という宣伝文句があります。
でも、医学的な知識をつけたところで、それを治療として使うのは違法行為なのです…。


【逆に技術には未熟さがあっても人生経験と話術でカバーできることもありますので、開業に関しては若いうちは焦らず経験を積んでから、ある程度年齢を重ねている人は思い切って開業してもよいかもしれません。】(P75)

無資格整体の開業ノウハウならいざ知らず、国家資格でさえこのような感じです。
「人生経験と話術でカバー」…f^_^; こういったところが、どう考えても医療行為とは思えないんですよね。
※もちろん、重箱のスミをつついているだけですので、お気を悪くなさらぬように…。


【あん摩、指圧は、身体の中心から末端、つまり心臓より遠いほうに向かい施術を行っていきます。これにより身体のすみずみまで気血をめぐらせていきます。
マッサージは足先など心臓から遠い部分から身体の中心に向かって施術し、血行を改善するとともに体液の循環を活性化させます。これによって新陳代謝が高まり、身体の中の老廃物の排せつをうながします。】(P81)

こういった具合に、指圧とはこういう方法、マッサージとはこういう方法、それ以外ならば、指圧やマッサージに似たようなものという感じで分けてもらえるといいんですけどね。
それにしても、指圧とマッサージの理論が真逆なのに、あん摩マッサージ指圧師と並列にならべてもいいのでしょうか??




著者の小野寺素子さんと宮下宗三さんは、ともに鍼灸の先生なので、本書もどちらかというと鍼灸よりの1冊になっております。

指圧やマッサージに関して、医療云々というのは、「ちょっと…」と思いますが、鍼に関して言えば、なんらかの効用があることは医学的にも証明されています。
ただ、今後“無痛針”などが出てきた時には、それがどうなるのかわかりませんけどね。
※鍼の効果も、精度の高い プラシーボ効果 ではないのか?とも言われています。