2013年9月11日水曜日

仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)

仙腸関節(せんちょうかんせつ)は、骨盤の骨である仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間にある関節であり、周囲の靭帯(じんたい)により強固に連結されています。

仙腸関節(せんちょうかんせつ)は脊椎の根元に位置し、画像検査ではほとんど判らない程度の3~5mmのわずかな動きを有しています。
日常生活の動きに対応できるよう、ビルの免震構造のように根元から脊椎のバランスをとっていると考えています。中腰での作業や不用意な動作、あるいは繰り返しの負荷で関節に微小な不適合が生じ、痛みが発生します。

仙腸関節障害は決して稀ではありません。一般的に、出産後の腰痛に仙腸関節障害が多いといわれますが、老若男女を問わず腰痛の原因となります。





仙腸関節障害の痛みは、お尻や下腹部、股関節にまで及び、しばしば足のしびれをや痛みをともないます。
また、寝返りをうったり、立ち上がったりなどの姿勢を変える際の痛みや、「仰向けで寝るのがつらい」といった訴えもみられます。

妊婦特有のものではなく、長時間座り続けたり、中腰で作業をしたりといった、日常的な動作の蓄積で誰にでも容易に起こりえます。
また、ぎっくり腰の一因とも考えられています。

この仙腸関節障害は、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影法)などでは見つかりにくく、股関節の病気や消化器、泌尿器のほか、精神的なストレスが原因と疑われることも、少なくありません。

患者さんに痛みの最も強い部分を指してもらうと、多くは仙腸関節付近を指します。周辺を圧迫すると痛みが強くなることも特徴です。
治療は、痛み止めの飲み薬の服用やゴムベルトの装着、関節への麻酔薬の注射などがあります。

村上栄一 仙台社会保険病院 腰痛・仙腸関節センター
読売新聞(2012年8月19日)より


脊椎と骨盤をつなぐ仙腸関節には、つねに重い負担がかかっています。
この仙腸関節のわずかなずれが、痛みのもとになっていることがあるとして注目されています。

仙腸関節の機能不全による腰痛は古くから知られていましたが、近年、再び、注目されるようになってきました。
最近の研究では、慢性腰痛の患者さんの約1割が仙腸関節障害によるものではないかともいわれています。

仙腸関節障害の診断基準
・ワンフィンガーテスト:患者さん自身に痛みのある部位を指さしてもらうと、上後腸骨棘(じょうこうちょうこつきょく)を中心に仙腸関節部のあたりを指し示す
・ニュートン・テスト変法:医師が両手で腸骨を押すと痛む



メモ
どうやら、「仙腸関節障害」は、広く整形外科の先生方が認めているというよりも、上の日本仙腸関節研究会(腰痛・仙腸関節センター)の先生方が発信しているもののようです。
他の整形外科の先生が「仙腸関節障害云々…」とおっしゃっているのを、まだ見聞きしたことがありません。
さて、これから医学的に認知されていくのでしょうか。